防衛省への個人情報提供について
大和市は、防衛相の自衛隊員募集事務に協力して、住民基本台帳の閲覧・転記を許可していました。毎年、情報提供した内容がHPでも公開されています。2023年度はこちらから。https://www.city.yamato.lg.jp/material/files/group/10/kokuji-R5-173.pdf
3月議会に他の議員の一般質問の中で市長は、今後は対象となる市民の情報を市側が準備して、提供すると答弁しました。
今後、18歳の市民の住所・氏名をラベルに印刷したものを防衛省へ提供していくようです。また、提供を拒否することはできるため、どのように「いやだ!」と意思表明するのかは、市報やHPなどを通して市民へ伝えていくとのことです。問い合わせ先は、大和市役所 市民経済部 市民課窓口 証明交付係 046-260-5365です。
住民基本台帳の閲覧から、市区町村が情報を提供するようになった動きの直接のきっかけは、2019年2月13日、当時の安倍首相が国会答弁で「自衛隊員募集に対する自治体の非協力は残念」と発言したことでした。これを受けて2021年2月5日に「自衛官又は自衛官候補生の募集事務に関する資料の提出について」という防衛省および総務省からの通知が出されました。「住民基本台帳の一部写し」を提供することは、住民基本台帳法上問題ないとするものです。
しかし、住民基本台帳法には、市区町村による目的外の利用や外部提供について許可するという規定がありません。そのため、自衛隊の協力要請を受けたとしても、住民基本台帳法のどの条項をとっても、台帳に記載された個人情報を提供できると解釈する法的根拠はない状態です。また、防衛省および総務省からの通知は、地方自治法245条の4第1項に基づく技術的助言とされていますが、同じく地方自治法247条3項で、この助言に従わなくても国は不利益な扱いをしてはならない、としています。
つまり、個人情報の提供について、明確な法的根拠はなく、国がこう解釈できると伝えてはいますが、判断するのは自治体であるということです。
今年度からの市側からの情報提供に対して、市民に伝え、拒否する方法も伝える(除外制度がある)取り組みが行われることに対しては、よかったと思っています。(市民へ通知もされないまま提供され、住民訴訟となっている自治体もあります。また、提供を拒否する除外制度がない自治体もあります)しかしどれだけの市民が、市報や市のHPでこの情報に気づき、拒否したいと思った時にその手続きまでたどり着けるのかという懸念もあります。
私自身も、以前は個人情報が閲覧され書き写しされている、という事実を知りませんでした。できるだけ多くの市民に、現状について伝え、希望しない場合は除外制度を利用する事について伝えていきたい、また、提供についても考えていきたいと思っています。