大和市 2025年度当初予算否決!
3月24日、本会議にて2025年度大和市当初予算案が賛成少数で否決されました。
大和市議会では初めてであり、他市でもほとんど事例がないようです。
今までも予算に反対を示す会派はいましたが反対少数であったため否決されることはありませんでした。しかし今回は、最大会派である自民党が反対に回ったことで、否決となりました。
否決されたままだと、4月からの予算が執行できず、4月からの行政運営に大きな影響が出ることとなり、市民生活に影響を及ぼします。
しかし、予算が否決された状態でもすぐには市民生活に影響が出ないよう、必要な予算は動かせる仕組みがあります。
今後市側は
「暫定予算:本予算が成立するまでの間必要な支出ができるようにしていく、いわゆるつなぎ予算」
「骨格予算:政策的な判断が難しい場合に義務的な経費を中心に編成した予算、選挙前などに組まれることもある」
「専決処分:議会の議決なしで市長が予算を決定する」いづれかの方法をとり、市民生活への影響が最小限になるよう取り組んでいくと思います。
今後臨時議会が開かれる可能性が高く、その場でもう一度審議されるようになると思います。
このような混乱をできるだけ避けようと、自民党から修正動議(予算に対して修正を提案すること)が提出されました。予算の中で、いくつかの事業に対し予算削減もしくは廃止すれば、その他の予算に対しては賛成します、という意思表示です。
それが、①放課後児童クラブ事業の中の放課後児童スポーツ活動
②うまいもの市開催事業
③歌謡イベント開催事業
④海外友好都市等交流事業 この4つの事業です。
特に、神奈川ネットが一番問題だと考えた事業が、①のスポーツ活動です。市側は、エンジョイスポーツと呼ぶ新規事業です。これは、全児童対象であるにもかかわらず、教育委員会ではなく、こども部が所管課となっています。更に、放課後児童クラブ事業に新規で加えられています。
事業の内容は、地域で活動するスポーツ協会に協力を依頼し、月に2回程度の平日の1時間、希望する児童を対象に運動場で何らかのスポーツ(野球やサッカーなど)を提供するというものです。児童クラブの児童だけを対象としたものではないのに、放課後児童クラブの支援員が関わっていくこととなります。更には、教育委員会が実施している放課後ひろばの児童も参加できる為、全児童が参加できる仕組みです。地域のスポーツ団体からは、5人以上指導に来てもらい、1回1万円の報酬が支払われる仕組みです。合計534万2千円の予算がつけられています。
委員会でも、様々な議員が事業について、質問しました。市長の答弁や市側の説明を聞いた中で問題だと思った点を挙げていくと
①本来、教育委員会が新規事業として実施していくべき。何故、現在でも様々な課題を抱えている放課後児童クラブの事業として運営されていくのか、根拠が不明。
②スポーツ協会への聞き取りは行われているが、児童クラブの支援員や放課後ひろばのスタッフ等への情報提供や話し合いが行われていない。
③放課後児童クラブの支援員の増員は考えていない。(スポーツ活動をしている時間、支援員による児童の見守りをする予定)多様な児童が参加してくことが考えられ、個々に必要な支援が違う。スポーツ活動に参加する児童もいれば、運動場で違った活動をしたい児童も出てくるはずである。支援員の必要人数の算出も難しい中、増員を考えていないとしているのはおかしい。
④スタート時期は7月、19校一斉に開始したいとしているが、市内19校の学校規模や児童クラブ参加者、放課後ひろば参加者がそれぞれ違う中、何故スポーツ団体からのスタッフ派遣は5人を基準としているのか、低学年2人、高学年2人、全体で1人としているが、児童数が多い学校に対応できるのか等の細かな調整が行われていない。
児童に対する事業で、更にはスポーツという怪我など危険のリスクも高い活動を行う際には、児童の安全を第一に考え、様々な事を想定した準備が必要です。しかし、委員会の審議の中でも、その心配は払拭されず、大きくなるばかりでした。全児童対象の事業であれば、本来学校設置者である教育委員会が責任を持って行うべきです。そして、先ずモデル校での実施を行い、課題を抽出して、必要な人員の配置等を検討した上で、全校実施へ繋げるという、丁寧な事業開始、これが子どもの安全を守っていく上でも第一優先にしていくべきです。
神奈川ネットとしては、今回の予算案を作成していくにあたり、800の事務事業精査が行われ、子どもに対する多くの事業が削減または廃止されたことも問題だと思います。今後必要な事業に対しては、再開を要望していきます。予算に対する意見要望は、討論で訴えました。
修正を求めた予算額が約950万円、議会のタブレット導入の予算が約1300万円なので、タブレット導入を1年遅らせて、その分のお金を当てればいいのではないか、議員も身を削るべきだという発言をした議員がいて驚きました。予算をパズルのピースの様に考えているのでしょうか。市の財源には限りがあります。その中で、必ず支払わなくてはいけないお金、いわゆる義務的経費と呼ばれるものを除き、自由に使えるお金の中で様々な事業に必要な予算を配分していきます。市の未来像を描きながら、何とか予算配分し組み立てているものであり、職員はそこに力を注ぎます。議会のタブレット化も、議会の中で1年間かけて準備してきたものです。それを額が近いから、組み替えればいいという発言は、職員の苦労も議会の議論も全く無にする発言に他なりません。
しかし、予算が否決され、市民生活に大きな影響を与えることは避けなくてはいけません。予算に賛成すれば、大変問題と考えているエンジョイスポーツ事業が全校で実施される可能性があり、児童の安全確保の観点からは大きな問題だと捉えていること、予算に反対すれば、暫定予算の編成など行政負担と市民生活へ大きく影響することに繋がります。
自民党が提出した修正動議に賛成し、修正部分以外の予算には賛成する、とすれば、修正部分以外の予算は問題なく執行できます。以上から、一番市民生活への影響が少なく、問題の事業については意義を唱えることのできる方法として、
自民党提案の修正動議に賛成しました。
しかし残念ながら、この修正動議は賛成少数で否決されたため、修正が加わらない元の予算案に対する採決が行われ、反対多数で否決されました。
3月中に臨時議会が開催された場合は、その内容をお伝えしたいと思います。