相模原市の人権条例に関する抗議集会に参加しました。

4月21日、ユニコムプラザさがみはらにて、

相模原市は何を捨て去り、失ったのか~改めて人権施策審議会「答申」の意義を問う~と題して、相模原市人権条例制定までの経緯と、何を問題と考えるのか、今後についての抗議集会が開かれ、参加してきました。

先ず、人権施策審議会「答申」の意義について、西南学院大学の奈須祐治先生の講演がありました。日本の差別の歴史から、差別禁止法が作成されていった経緯の中で、個々の差別に対する差別解消法はあるが、包括的な差別解消法がないこと、他国に比べヘイトスピーチの規制の範囲が極端に狭い状態です。日本の差別に関する法制度は欠陥が多く、欧米の法制度に比べて遅れているということが分かりました。

今回の相模原市の人権施策審議会の答申は、現在の法制度の中で、自治体として先進的な取り組みを求めるものだったということが分かります。

①やまゆり園事件を「ヘイトクライム」であると確認する一説を盛り込んでいる(ヘイトクライムという文言を条例等に初めて入れようとした)                             ②独立性の担保された人権委員会の設置                                               ③不当な差別的言動が発生した場合に、人権委員会が市長に声明を発出するように求めることができる                                   ④人種、民族、国籍、障がい、性的指向、性自認、出身を理由とする不当な差別的言動の行われる恐れのある時に、公の施設の利用制限と市長に拡散防止措置と氏名などの公表に加え罰則規定がある

2020年1月に市長より人権施策審議会が諮問を受け、3年をかけて出された画期的な「答申」が全く無視された「条例の骨子案」が、2023年11月に提示されました。条例骨子案に対するパブリックコメントでは、条例案の撤回や抜本的修正を求める声が多く寄せられました。更には、人権施策審議会の有志が公開質問状を出しましたが、不誠実な回答でしかなく、審議会の会長などが辞任表明を行う事態となりました。

奈須先生の後には、市議会議員、反差別ネットワークの方、元審議会委員の方など、様々な立場の方のこれまでの活動と思いを聞くことができました。

相模原市が人権条例を策定に向けて取り組んだことに対しては評価できます。しかし、人権施策審議会の答申の根幹部分が全く無視されたとも捉えられる今回の条例に対しては、とても憤りを感じます。

登壇された方が口々に、条例策定後、どのように取り組んでいくのか注視していかなくてはいけないこと、今後も活動を継続していくこと、また規範モデルともなる「答申」は生きており他の自治体の条例制定の際に活かされることが期待されることを述べられていました。

大和市には残念ながら人権条例はまだありません。

人権は誰がいつ侵害され踏みにじられるか分かりません。日常の中で、様々なコミュニティの中で、人権侵害はおきます。そのような中で今必要なのは、多様な差別に対する包括的な人権条例です。全てのひとの人権を守り、自分らしく生きることができるまち、大和市となるために、人権条例の策定と取り組みは欠かせません。

この集会に参加して、その想いを強くしました。